「放射線」と聞くと “恐ろしい”イメージを持たれている方が多いのではないかと思います。自然界にも放射線は存在しているのをご存知でしょうか?@宇宙から降り注いでくる宇宙線、A大地の中や建物の中に存在するもの、B空気中に存在するもの、C体内や食物に含まれるものがあり、私達は日々避けることのできない自然放射線を浴びています。自然放射線被曝量は、年間約2.4ミリシーベルトといわれています。胸部のX線撮影に換算しますと8〜40枚分になります。つまり普通に生活していてもそのくらい被曝しているのです。自然放射線被曝は赤道に近い国々の人々や高度の高い地域は宇宙からの放射線 がさらに増加します。また、飛行機に乗って東京からニューヨークへの往復旅行をすると地上にいる時と比べて多くの宇宙線をあびており、約0.2ミリシーベルトの被曝量といわれています。
放射線検査で受ける一回あたりの平均的な線量は施設、体格などにより異なり、数値はあくまでも概算値ですが、自然放射線被曝量と比較してみて頂きたいと思います。胸部のX線写真撮影一枚(いわゆる胸部レントゲン撮影)0.06〜0.3ミリシーベルト、胸部CT撮影 平均7ミリシーベルト、核医学検査 約1〜15ミリシーベルト、PET/CT検査 約2.2ミリシーベルト、胃バリウム検査1回約3.5ミリシーベルト、大腸のバリウム検査1回約8ミリシーベルトであります。放射線の影響は受けた量や部位により異なりますが、全身被曝の場合200ミリシーベルト以下の低線量では悪影響は確認されていません。全身に一度に500ミリシーベルト被曝すると白血球が一時的に減少します。全身に一度に1000ミリシーベルト(1シーベルト)被曝すると倦怠感や吐き気が起こります。同じく全身に一度に7000ミリシーベルト(7シーベルト)被曝すると死亡するといわれています。平成11年の東海村臨界事故で亡くなられた作業員の方の被曝線量は約17000ミリシーベルト(17シーベルト)と推定されています。
胎児が放射線に被曝した場合、奇形が発生する可能性が高くなるのは、胎児の器官形成期(受精後2〜8週、最終月経から数えて4〜10週)の時期、精神発達遅延については受精後8〜25週であり、それぞれ腹部に直接、一度に100ミリシーベルト以上の場合といわれています。遺伝病は放射線被曝がなくても自然に発生しますが、放射線被曝により自然に発生する遺伝病の発生率が2倍になる線量は1000ミリシーベルトであり、通常の放射線検査では遺伝的影響は起こりません。
「放射線検査はこわいと感じる検査ではないようだな〜」と少し思って頂けたでしょうか?医療現場では患者様の利益が十分に大きいと予想される場合のみ放射線を使用しています。私達医療従事者は放射線のメリット、デメリットを常に意識し、必要最小限の放射線被曝で、最大限の情報が得られるよう鋭意努力しております。