健康百科 > 風邪と抗生物質(呼吸器内科医長  眞塩 一樹)

風邪と抗生物質


  
     咳や鼻水など風邪の諸症状が出るとすぐに風邪薬を飲む方が多いと思いますが、風邪は薬で治すものではないという治療指針が日本呼吸学会より報告されました。   
  風邪は急激な症状が無い場合は3、4日間は医療機関に行ったり、薬を飲んだりする必要が無く、自宅での安静・療養が大切だということです。
  日本呼吸器学会がまとめた風邪治療に関するガイドラインは次のようになっています。
   1. 自然に治るもので、風邪薬で治るものではない。
2. 普通は3〜7日で治るが、14日程度かかる場合もある。
3. ほとんどがウィルス感染でる。ただし、インフルエンザを除いて、有効な抗ウィルス薬は存在しない。
4. 抗菌薬(抗生物質)は風邪に直接効くものではない。
5. 抗菌薬を乱用すると、下痢やアレルギーの副作用や薬が効かない耐性菌を生み出す危険がある。
6. 風邪薬は、症状の緩和が目的の対症療法にすぎない。
7. 多くの風邪薬、特に総合感冒薬は、連用すると発疹や発熱、胃腸障害など副作用の危険がある。
8. 発熱は体がウィルスと戦っている免疫反応で、ウィルスが増殖しにくい環境を作っている。
9. 解熱・鎮痛剤は、症状が激しい場合のみ頓服として使う。アセトアミノフェンなど作用が穏やかな薬が推奨される。
10. 十分な食事が摂れない時や消化性潰瘍がある人、アスピリン喘息、腎不全の人はアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの解熱・鎮痛剤は飲んではいけない。
11. 症状の持続(4日以上)や悪化が見られる時は医師の診断が必要。
12. 予防にはうがい、手洗いが有効。うがいには殺菌効果がありポピドンヨード(イソジン)が望ましい。
13. 発症時、とくに発熱時に最もウィルスをうつしやすい。
  医療機関を受診すると多くの場合に抗菌薬が処方され、患者側も抗菌薬を希望して医療機関を受診する傾向があるようです。現代では抗菌薬の乱用が耐性菌の増加を招き、院内感染にもつながっているという報告も出ています。今日の耐性菌時代には「念のための抗菌薬」よりも 「処方なしで慎重経過観察」するほうが より安全と考えられるようです。
  また、風邪をひいたなと思ったら、十分な睡眠・休息をとりましょう。基本的に風邪ウイルスは寒く乾燥した環境を好みますので、普段から、室内の保湿に心がけ、ウイルスが体へ侵入するのを防ぐため、外から帰ったら、うがい・手洗いをすることで、風邪の予防に努めましょう。
  

塩谷総合病院   呼吸器内科医長
眞塩 一樹
※眞塩医師は平成20年5月31日をもちまして退職されています。

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