健康百科 > 『胆石』について−その1(胃腸科外科部長  一瀬 雅典)

『胆石』について−その1


  『胆石』は比較的聞き慣れた病名だと思いますが、意外と正確には理解されていない病気のようです。今回は胆石についてご説明いたします。
  『胆石』とは、胆汁(たんじゅう:黄色くて苦い消化液)の通り道である「胆管」や「胆嚢」に結石を生じる病気です。(→腎結石や尿管結石とは全く異なる病気です。)
  胆汁は肝臓で作られ、「肝内胆管」に分泌され、一本の「総胆管」に集まって十二指腸に流出します。総胆管の途中に小ナスくらいの大きさの「胆嚢」という袋があります。胆嚢は胆汁を一時的に貯めて、濃縮して効率的な濃度に仕上げ、食事が十二指腸に来ると胆汁を駆出します(右図)。胆嚢は貯留・濃縮・駆出を仕事としたリザーバータンクみたいなものです。(→胆嚢が胆汁を作っている訳ではないのです。)
  その仕事柄、胆嚢には胆汁を濃縮する過程で沈殿物(ヘドロのような胆泥)が生じやすく、それはやがて固まって胆石になりますが、食の欧米化した現代では胆汁中のコレステロールが中心になって結晶します。したがって胆石になりやすいのは高コレステロールになりやすい太った人、女性、中年40歳以上です。そして『胆石』の殆どは胆汁の流れのある「胆管」ではなく、「胆嚢」にできる『胆嚢結石』ということになります。
  『胆嚢結石』による痛み(発作)は、胆嚢の出入り口にはまりこんだ石が、胆汁の流出をラムネの瓶のビー玉みたいに邪魔するために生じます。その痛みは右の肋骨下(季肋部)の痛みであったり、右背部痛であったりします。このとき胆嚢には強い炎症や細菌の繁殖が生じて発熱したり、ときに敗血症や腹膜炎を起こして命に関わることも稀ではありません。
  こうした『胆嚢結石』に対する治療は、よく言う『薬で溶かす治療』は殆どの場合無効であり、現在のところは『胆嚢ごと石を取る手術療法』しかありません。(→石だけを取るのではありません。何度もくり返さぬよう胆嚢も取ります。) 
  この手術も胆石の炎症が軽ければ(つまりあまりひどくなる前ならば)王監督も受けた腹腔鏡による手術法によって、傷も小さく、痛みも少なく済ませることが出来ます。癌などと違って一刻を争うわけでは有りませんが、若くて軽いうちの治療が安全かつお得というわけです。
  『はたして胆嚢を取ってしまっても大丈夫なのか』とか、『今は症状が無いのだけれどどうしたらよいか』など、いろいろ心配になってきた方は一度、塩谷総合病院胃腸科または消化器内科にご相談下さい。

塩谷総合病院   胃腸科外科部長
一瀬 雅典

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