健康百科 > 息切れを感じたら(呼吸器内科 副院長  阿久津 郁夫)

息切れを感じたら


  テレビをみたり、自宅で横になっているときには何ともないのに、少し急ぎ足で歩いたり、階段を2階まで上がったり、ちょっと坂道を登ったときに息が切れることはありませんか? このような症状がある場合、医学用語では“労作時呼吸困難”といいます。これは安静時より労作時のほうが身体が酸素をより多く必要とするため、身体の酸素が不足しやすくなり起きてくる症状です。原因としては、酸素を取り込む機能をもつ気管や肺の病気、酸素を全身の組織に運ぶ血液の病気、血液を身体の隅々まで勢い良く送っている心臓の病気などでおこります。
  このなかで、最近特に年々死亡者の数が増えて、日本でも年間1万人以上が命を落としている疾患に慢性閉塞性肺疾患があります。何やら難しい名前ですが、わかりやすく云うと慢性気管支炎、肺気腫または両者の併発により引き起こされる気道の閉塞を伴う病気です。慢性気管支炎は、慢性または反復性に喀痰が増加する状態で、このような状態が2年以上続き、1年のうちに3ヶ月以上認められる状態をいいます。肺気腫は、気管が肺に入り込んでいって次第に細くなった気管支(細気管支)と、その先についている肺胞と呼ばれる、空気の出入りによって膨らんだり縮んだりする風船のような組織が破壊される病気です。この肺胞で酸素と二酸化炭素が交換されるので、ここが破壊されると身体の中の酸素が低下し息が切れることになります。これらの病気のほとんどは喫煙で起こっているといっても過言ではなく、その程度はタバコの本数に依存します。喫煙者の中の約15%は特に喫煙による影響を受けやすい体質の方がいると言われており、気管支や肺に慢性の炎症が引き起こされることにより、65歳を過ぎた頃には生活に障害をきたす程度(トイレや入浴、衣服の着脱でも息が切れる)になってしまう場合もあります。喫煙後すぐに症状がでるわけでなく、喫煙を開始してから20〜40年くらいでじわじわと発症してくる恐ろしい病気です。事実、慢性閉塞性肺疾患で死亡した症例のほとんどは喫煙者です。診断は、肺機能検査、胸部レントゲン、胸部CT、動脈血酸素飽和度など、痛くない検査で診断可能です。
  この疾患の最初の治療は禁煙です。当院でも第2、第4の金曜日の午後、ニコチンパッチを使って禁煙のお手伝いをさせていただいておりますので、ご利用いただければと思います。また、最近では、呼吸困難を軽減するよいお薬も使用できるようになってきました。この病気の程度により、どのような薬を使用するのが望ましいかというガイドラインもできています。
  長年喫煙をしていて、動くと息が切れるという症状があるときには、近くの先生にまずご相談ください。

塩谷総合病院   呼吸器内科 副院長
阿久津 郁夫
※阿久津医師は平成20年5月31日をもちまして退職されています。

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